MARKファミリービジネス研究会の今年度最後となる11月例会を11月2日に開催しました。
第1部:株式会社ヘルスケアシステムズの瀧本陽介社長
第1部の講師は株式会社ヘルスケアシステムズの瀧本陽介社長です。株式会社ヘルスケアシステムズは名古屋大学発の医療系のベンチャーです。大学発ベンチャーとは、大学の教員、研究者、学生、が開発した技術を用いて事業化する企業です。機能性食品研究の第一人者の名古屋大学の大澤俊彦教授と瀧本社長の偶然の出会いから始まった当社の事業ですが、始めてみると当初の見込みとは違って、事業がストップしかけない危機が次々訪れます。
そんな危機を救ったのが、様々な人や企業との出会いでした。瀧本社長は「自分は運とタイミングが良かった」と語りますが、講演を聴いて、運の良さは瀧本社長の事業に対する熱量であり、タイミングの良さは、10年後を想像し、それに対応するために定置網で魚を捕るように、すぐに結果は出なくても、いろいろな罠を仕掛けてタイミングを待つという姿勢を貫いていることによるものだと理解しました。
瀧本社長は現在名古屋大学だけでなく、広島大学発と静岡県立大学発のベンチャー3社の代表でもありますが、「人生はいつだってチャレンジできる」と未来を語る姿に参加者は大いに刺激をもらいました。
第二部:日本あいづち協会理事長の齊藤勇様
第2部は『あいづち~人間関係の極意』という演題で立正大学名誉教授、日本あいづち協会理事長の齊藤勇様より話を聞きました。職場の人間関係の悩みから、上司や部下と上手に話したいと考える人は多いですが、話し上手より、聞き上手になろう、というのがテーマです。
それには話を聞くときのあいづちを意識して行うことが重要です。人間の基本的な欲求のひとつに「自己重要感」があり、あいづちを上手に使うことで効果的に自己重要感の充足、つまり相手の自尊心を満足させることができるということです。
例えば、評価のあいづち対話法として、「さ(さすが)・し(知らなかった)・す(すごい)・せ(センスがいい)・そ(そうですね)」などが紹介されました。人間関係で良い聞き手になるにはあいづち上手になることを学びました。
講師紹介
株式会社ヘルスケアシステムズ
代表取締役 瀧本陽介 氏
三重県松阪市出身。金沢大学大学院博士前記課程中退(理学修士)。大学・大学院では、熱帯の生態学を専攻。
その後、27歳の時に三重大学発のベンチャーの立ち上げに参画。そこで機能性食品の分野で有名な名古屋大学農学部の大澤俊彦教授(現名誉教授)と邂逅。そこから安価に微量な検体から一度に多項目を測る技術を使った 「抗体チップ」という検査方法を核として、名古屋大学発ベンチャーの株式会社ヘルスケアシステムズを設立。
様々な苦労の末に、国の資金も使って抗体チップの商品化に成功。ターゲットを一般向けに絞った郵送検査を開始。楽しみながら健康になれる社会を目指す名古屋大学発ベンチャーの挑戦の物語を聴く。
他に広島大学発ベンチャー(株式会社ダンテ)、静岡県立大学発ベンチャー(株式会社アデノプリベント)、中国子会社(上海レジアンバイオテック)の代表取締役を兼務し、大学シーズの事業化に汗を流している。