8月4日にナゴヤイノベーターズガレージにてMARKファミリービジネス研究会の8月例会を開催しました。

第1部の講師は、株式会社リバークレス代表取締役の伊藤由紀様です。

リバークレスは「柿酢」を製造・販売している会社です。「柿酢」を知らない方も多いと思いますが、リバークレスのある岐阜県海津市は富有柿の産地として有名ですが、柿酢はこの地元の富有柿を原料に水を一切使わず2年以上発酵熟成させて作られます。「柿」と「酢」の良さを合わせ持った柿酢は美味しいだけでなく、アミノ酸やカリウムなどが豊富に含まれる健康食品としても注目されています。

この柿酢をほぼ独学で開発したのが伊藤社長です。名古屋大学理学部大学院を卒業後、NTTを経て、外資系コンサル会社に転職。その後東京で経営コンサルタントとして独立していた伊藤社長が文字通り畑違いの農業の分野で、それも全く経験のない酢の醸造を始めたのか。講演では、これまでの様々な苦労話を聴くことができました。

しかし、そんな苦労を乗り越えられたのは、やはり「柿酢」に対する熱い想いだったと思います。伊藤社長の中には、目指すべき商品像が明確にあり、それに向けて経営コンサルタント時代の経験も活かし今も進化中です。

また、伊藤社長のビジネスは柿酢の醸造だけにとどまらず、柿酢を醸造する際のしぼりかすを畑の堆肥やうずらの飼料に活用したり、生産工程で取り出される柿の種を焙煎しコーヒーを製造するなど、次々に地域資源を活用した循環型地域経済を創出していて、これからどんな展開を見せてくれるのか楽しみです。

講演の中では、柿酢の試飲もあり、会場の皆さまには炭酸割りやフルーツジュースを加えた色々な飲み方を試していただき、柿酢の魅力を認識していただきました。

第2部のビジネスよもやま話は 女性誌「クロワッサン」元副編集長でウェルネス&キャリア通信社代表の越川典子様に「女性活躍に必要な視点とは?~アンコンシャスを通して考える~」と題して講演をしていただきました。

無意識に「こうだ」と思うことがアンコンシャスバイアスです。講演から「女性だから○○○だ」「○○は女性に多い」などと知らず知らずのうちに決めつけていることが多いことを気づかされました。

越川様は「大事なのは自分のアンコンシャスバイアスに「気づく」ことだと言います。

そして、ひとりひとりが「私はここにいる意味がある」など、存在意義を感じられるような多様性のある組織づくり、社会づくりをめざそう、と締めくくられました。非常に示唆に富んだ講演でした。

講師紹介

株式会社リバークレス 代表取締役
伊藤由紀 氏

名古屋大学理学部化学科から大学院へ進学。大学院修了後、NTTに入社。その後外資系コンサルティング会社に転職。2007年に独立し、経営コンサルタント会社の株式会社リバークレスを設立。

2011年気晴らしで、ふるさと岐阜県海津市で耕作放棄されていた祖父の柿畑の再生に取り組む。収穫した柿の加工品作りをする中で柿酢を醸造して販売するビジネスに取り組む決意を固める。規格外として廃棄されていた富有柿を活用して水を一滴も加えない伝統製法でつくる「ハリヨの柿酢」は純米酢に比べ、アミノ酸が5倍、カリウムが16倍含まれる優れもの。

また、柿酢を醸造する際のしぼりかすを畑の堆肥やうずらの飼料に活用、生産工程で取り出される柿の種を焙煎しコーヒーを製造するなど、循環型地域経済を創出している。

最近はメディアに多く取り上げられるなど、未来につながる地域の会社の奮闘ぶりが注目を集めている。