MARKファミリービジネス研究会の9月例会を9月7日に開催しました。
第1部の講師はドラッカースクール日本担当ディレクターで元ヤマト運輸(株)代表取締役の小倉康嗣様です。小倉様は、「クロネコヤマトの宅急便の産みの親」として知られる小倉昌男のご長男です。
小倉昌男には、ビジネス書のロングセラー『小倉昌男 経営学』という名著がありますが、講演ではこの本の内容を中心に、ヤマト運輸の経営の強さの秘密を経営者・小倉昌男と父親・小倉昌男の両方を知る講師から聴くことができました。
中でも強調されたのは、当初は絶対儲からないと言われた「不特定多数個人市場」を相手にした宅急便に目を付けたアイデアとその成功の裏には、幅広い情報収集力と深い論理的思考、そしてヤマト運輸の企業理念にも見られる高い倫理観があったことです。
小倉昌男は2005年に亡くなっており、今や直接その経営哲学を聴くことはかないませんが、日本中の経営者に大きな影響を与えた名経営者を最も近くで見ていた講師の話は、興味深く、示唆に富んだものでした。
第2部のビジネスよもやま話は、DX(デジタルトランスフォーメーション)がテーマでした。講師は、経済産業省のレポート「ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開」の策定に携わられた名古屋国際工科専門職大学教授、名古屋大学名誉教授の山本修一郎様です。講演では、企業のDXへの取組状況、特に中小企業の取組みが進んでいないことや、D(デジタル)は分かっていても。X(トランスフォーメーション)が分かっていない企業が多く、「経営と事業、技術に精通したリーダー」が不足しているという課題が指摘されました。
DXについての理解促進に役立つ内容でした。
講師紹介
ドラッカースクール日本担当ディレクター
(元・ヤマト運輸株式会社 代表取締役)
小倉康嗣 氏
1960年東京生まれ。名経営者として知られる宅急便の生みの親・小倉昌男氏の子息。
1984年慶応義塾大学法学部卒業。
2011年Peter F.Drucker and Masatoshi Ito Graduate School of Managemant(ドラッカースクール)にてExecutive MBAを取得。
1989年ヤマト運輸(株)入社。ヤマト運輸(株)代表取締役社長、ヤマトホールディングス(株)専務執行役員、米国ヤマト運輸(株)CEOを歴任し、2015年ヤマトホールディングス(株)を退社。同年ドラッカースクールにてリサーチフェロー就任。2017年よりドラッカースクール日本担当ディレクター。
中堅の運送業者であったヤマト運輸を宅急便に資源を集中することで日本の物流の最大手にまで育て上げ、ヤマト運輸退社後は、障がい者福祉の世界に飛び込み、障がい者雇用の改善に力を注いだ小倉昌男氏に畏敬の念を抱く経営者は多い。そんな父・小倉昌男の経営哲学を間近で見てきた、昌男氏の子息でヤマト運輸元社長の講師からその素顔を語ってもらう。