MARKファミリービジネス研究会の8月例会が8月5日(木)に開催されました。

今回の講師は株式会社アドマテックス代表取締役社長の安部賛(あべ・すすむ)様です。

安部社長は1981年にトヨタ自動車に入社。1984年セラミックエンジンに使用する素材を合成する実験中、たまたま操作を誤ったことで爆発音とともに白い煙に包まれたと言います。タバコの煙のようなその白い粉が気になり、後日電子顕微鏡で確認したところ見たこともないまん丸のシリカの微粒子でした。

後にアドマフィンと名付けられるこの製品は自動車では用途が見つからない素材だったのですが、半導体の封止材の材料として有望なことが分かります。そしてトヨタ自動車発のベンチャー企業第一号として株式会社アドマテックスが設立されました。現在この分野で世界№1のシェアを誇ります。

よく他人からは、「アドマテックスはトヨタの豊富な資金や人材や技術を使えていいですね」などと言われることがあるそうですが、決してそんなことはなく、トヨタの関連会社だからこそ思い通りにいかなかったことも多々あったそうです。

講演のタイトルは『異端者たちの挑戦 トヨタ発ベンチャー企業第一号 苦闘の歴史』というもので、自動車業界の異端者としてここに至るまでの苦闘の歴史を語っていただきました。

安部社長はエンジニアのご出身ですが、この製品を売るために営業はじめ会社のほとんどの業務を経験されたそうです。その中で学んだ経営の基本原則となっているふたつの言葉があるそうです。

「小さくても業界に決定的な影響力を持つこと」と「小さな池の大きな魚を釣り上げること」です。アドマフィンという画期的な製品は、まさにこの言葉通りの製品に成長し、高い業績を支えています。

安部社長という個人がそれまでに世の中になかった製品を産み出し、この分野で圧倒的なシェアを占めるまでに育てたアドマテックスという会社は「何か難しいことを成し遂げよう」と考えるモチベーションが組織風土として養成されている会社であることが窺われ、感銘を受けました。

第2部のビジネスよもやま話のテーマは「AI(人工知能)」。AIの発達に伴って、社会や企業経営にもたらされる変化については、以前から話題になっているテーマですが、今回は名古屋市立大学大学院の渡邊裕司准教授をお迎えし、『人工知能で何ができるか』という演題で、そもそもAIとはどのようなもので、どのように発達してきて、今どんな状況にあるのか、そしてAIにはどんな可能性があり、どう活用していくかを解説していただきました。