経営者のためのビジネスセミナー「MARKファミリービジネス研究会」の今年度のプログラムがスタートし、第1回が、4月8日(木)の15時30分から名古屋市中区栄のナゴヤイノベーターズガレージにて開かれました。

今回の講師はコスモス・ベリーズ株式会社の創業者・三浦一光氏です。

コスモス・ベリーズは当時名古屋市の家電小売店チェーン豊栄家電社長であった三浦氏が、量販店の台頭で街の電器屋の売上が減少するなか、逆転の発想で地域店こそ大手量販店と組むことで有利な仕入ができ、生き残りを図れると考え、2005年にヤマダ電機と合弁で設立したボランタリー・チェーンの会社です。ボランタリー・チェーンとは、個々の独立小売店が、同じ目的を持った仲間とともに組織を作り、チェーン店のような仕組みを作るビジネスモデルです。同じような仕組みにフランチャイズ・チェーンがあります。ボランタリー・チェーンには、フランチャイズチェーンと同様に加盟店を指導するチェーン本部が存在しますが、加盟店が主体となっているため、加盟店同士の横のつながりがある(相互助成が可能である)のが特徴です。

コスモス・ベリーズは現在、電気店以外の工務店や百貨店など80業種以上で1万店を超えるネットワークとなっています。まさに「流通の常識を超えたビジネス・モデル」を作り上げたと言ってよいでしょう。

そんな三浦氏ですが、もともと松下電器産業(現パナソニック)のご出身で、松下電器時代は営業本部副本部長としてダイエーとの取引をスタートさせたり、赤字事業であったビデオ事業部の部長として事業再建をされたご経歴をお持ちです。

コスモス・ベリーズの母体となった家電小売チェーン豊栄家電の社長に就かれる前には、松下電器より当時グループ内のレコード会社で長期間低迷が続いていたテイチク㈱に社長として送り込まれ、3年間で3曲のミリオンセラーを世に送り出しこれも事業再建を果たされるなどすぐれた実績を残されています。

今回は、そのテイチク時代のお話を中心に講演いただきました。演題は「変わらなくっちゃ、変えなくちゃ テイチク・レコード再生物語」です。

MARKファミリービジネス研究会も今年で5年目を迎え、これまでいろいろな業種の講演を聴きましたが、エンタメ業界の話ははじめてで大変興味深いものでした。しかし、三浦氏がそこから学んだものはエンタメ業界だけでなく、どんな事業にも当てはまるものだったようです。具体的には①縁と運、②素人こそ「本質が見える」、③リストラの「罪悪」、④信用と金、⑤企業は誰の為の企業か「社会の公器」です。

詳しい内容は省きますが、その中で「自分自身が運がよいと思わない限り、幸運は来ない」「何も分からない業界に入り、最初の1年は「見る」ことに専念した」といった話が強く印象に残りました。

そして、これからの日本を背負って立つ経営者に向けて、①課題を並べて、できないかもしれないと考えていないで「やってみないと分からない」と思って挑戦して欲しい、②ラジオが5千万台普及するのに38年、カラーテレビは13年がかかったが、LINEはたった1年で普及した。「10年ひと昔」は当たらず、今は変化のスピードに負けないような判断が求められている。③スピードへの対応は大変曲点の見極めと技術進歩が大事、という言葉をいただきました。

85歳になられる三浦氏は今年2月末でコスモスベリーズの相談役を退任されましたが、これからも経営者の先輩として、小規模事業者のためにその経験を伝えて行きたいとおっしゃっていました。まだまだご活躍が期待できるようです。