経営者のためのビジネスセミナー「MARKファミリービジネス研究会」の第4回が、名古屋市中区のナディアパーク4Fのナゴヤイノベーターズガレージを会場に、9月3日に開催されました。

講師は富士特殊紙業株式会社の杉山仁朗会長です。富士特殊紙業(フジトク)は愛知県瀬戸市の食品包装用の印刷複合フィルム資材メーカーです。

杉山会長が先代から社長を引き継ぎ、会社を任された時、ふたつの夢があったといいます。ひとつは有機溶剤を使わない印刷の実現すること。臭いがきつく、火災の原因になりやすい有機溶剤ですが、印刷には有機溶剤がつきもので、有機溶剤を使わない印刷などというものは考えられませんでした。

また、少量多品種の製品が多い食品パッケージの分野で、これに対応して採算をあわせるにはそのためのデジタル印刷技術の開発しか道はないと考え、この技術を完成することがもうひとつの夢となりました。

どちらの夢も、当時は不可能に近いものと考えられていましたが、果敢にチャレンジした結果、水性グラビア印刷の成功とデジタルグラビアハイブリッド印刷機の開発という形で花開き、今では水性グラビア印刷のシェアは世界№1となりました。

杉山会長は、これらの技術開発を進める中で、技術開発と人づくりは同時進行だということに思い至りました。たまたま聴いた宇宙航空研究開発機構(JAXA) 小惑星探査機『はやぶさ』のプロジェクトマネージャー の川口淳一郎氏の講演で「夢が人をつくる。夢を実現する中で人が育つ。人が育つことでプロジェクトが成功する。」という言葉を耳にし、大いに共感したといいます。

またフジトクは働き方改革の先進企業でもあります。退職金の前払い制度、定年66歳制度、企業内保育園など、他社に先駆けて独自の仕組みを次々に導入しています。

そしてこれから始めようとしているのが、5勤2休から4勤2休への移行です。いわば、1週間を7日間ではなく6日間にするわけです。この制度により、年間の休日は現行より34日増え143日になり、工場の稼働率もアップするということです。ただし、今までのように土日が休日となる回数は減るわけで、従業員の間では少し戸惑いもあるようです。今後、どのような成果をもたらすか大変興味深いと思います。

フジトクは夢を実現させていく中で、人が育つことを実践している企業であり、大いに参考になる講演でした。